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    <title>トム＆ハンクス上田の「ミッシェルガンさしすせそ」</title>
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    <updated>2008-12-29T21:12:13Z</updated>
    
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    <title>大学時代に印象に残っていることは何ですか？</title>
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    <published>2008-12-24T14:11:37Z</published>
    <updated>2008-12-29T21:12:13Z</updated>

    <summary> 大学時代の記憶がほとんどない。 4年間だ。18歳から22歳までの4年間、俺は大...</summary>
    <author>
        <name>上田啓太</name>
        
    </author>
    
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    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://ueda.tomhan.net/">
        <![CDATA[<p><img src="http://ueda.tomhan.net/images/20081224.jpg" alt="20081224.jpg" height="225" width="400" /></p>
<p>大学時代の記憶がほとんどない。<br /></p>
<p>4年間だ。18歳から22歳までの4年間、俺は大学に通っていた。そのはずなんだ。なのに24歳となった今、思い出せることがほとんどない。そして中学の時にイトウさんの水色のブラが見えたことは今でもはっきりと思い出せる。俺の4年に渡るキャンパスライフは1枚のブラジャーに負けている。</p>]]>
        <![CDATA[<p>工学部の建築学科だった。それは断言できる。</p>
<p>ひとつだけ覚えていることがある。たしか大学三年の七月だ。俺はテストのために真夜中徹夜で勉強していた。</p>
<p>構造力学という分野だった。鉄筋にある一定の力を加えたとき、どれくらいひん曲がるのか。そんなことを計算で求めていく。はっきり言って興味はなかった。俺の建築への心は、ひん曲がるどころか折れていた。それでも単位は必要だった。眠い目をこすって勉強した。</p>
<p>この分野では、鉄筋の曲がり具合を、"たわみ"と呼んでいた。問題文の中にも、何度も何度もその言葉が出てきた。それは聞き慣れた言葉ではなかった。専門用語というほどではないだろうが。</p>
<p>深夜五時だった。あたりは静まり返っていた。俺は数時間後に控えるテストに怯えながら、ただただ鉛筆を動かしていた。次から次へと問題を解いていき、解法パターンを頭に叩き込んだ。そこでふと問題文に違和感を感じた。眠たい目をこすってまじまじと見つめた。</p>
<p>誤植があった。</p>
<p>「わたみ」と書いてあった。</p>
<p>たわみ、たわみ、と繰り返す中に、ひとつだけ居酒屋が紛れ込んでいた。</p>
<p>深夜五時のぼんやりした頭に、この誤植は革命的に面白かった。俺は笑った。誰もいない部屋で笑った。死んでいた心は瑞々しさを取り戻した。モノク
ロームの世界に鮮やかな色彩がよみがえった。わたみ、おお、わたみよ！　酒のひとつも出さずに、ここまで気分を昂揚させてくれるだなんて！</p>
<p>俺は救われた気分になった。緊張していた心がほぐれた。先ほどまでの切迫感が嘘のようだった。俺は満たされた気持ちですやすやと眠った。そして目覚めると夕方になっていた。テストは終わっていた。世界がひん曲がって見えた。</p>
<p>これが僕の、大学生活でいちばん心に残っていることです。</p>
<p>ぜひ御社で働かせてください。</p>]]>
    </content>
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    <title>ノスタルジック・エンターテイメント</title>
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    <published>2008-12-22T16:53:25Z</published>
    <updated>2008-12-29T21:14:47Z</updated>

    <summary> 小さい頃はかさぶたができると嬉しかった。剥がせるからだ。俺はかさぶたを剥がすこ...</summary>
    <author>
        <name>上田啓太</name>
        
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        <category term="text04「東京」" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://ueda.tomhan.net/">
        <![CDATA[<p><img src="http://ueda.tomhan.net/images/20081222.jpg" alt="20081222.jpg" height="225" width="400" /></p>
<p>小さい頃はかさぶたができると嬉しかった。剥がせるからだ。俺はかさぶたを剥がすことをある種の娯楽だと思っていた。かさぶたをエンターテイメントだと思っていた。</p>]]>
        <![CDATA[<p>だから子供の頃、走って転んで擦り傷が出来たとき、痛みと同時に喜びを感じていた。かさぶたが、僕にかさぶたができるぞ！　一気に心はカーニヴァル
だった。だが、気をつけなくちゃいけない。娯楽を求めるあまり、かさぶたになる前に剥がしちまえば、あっという間にゲーム・オーバーだ。その駆け引きもた
まらなかった。</p>
<p>唯一、かさぶたを剥がすことに対抗できる娯楽は、梱包材のプチプチだった。これを潰すのもかなりエキサイティングな行為だった。</p>
<p>家に宅急便が届くのが楽しみだった。プチプチが入っているかもしれないからだ。入っていなければ少なからずショックを受けた。入っていれば、弟とそ
れを取り合った。少しでも多くのプチプチを潰したかった。それが兄としての尊厳だった。弟より多くのプチプチを、弟より素早く潰していく。弟は手を止め
て、快哉を叫ぶ。</p>
<p>「兄貴はやっぱりスゲェや！」</p>
<p>これで、来週のジャンプも俺が先に読める。</p>
<p style="text-align: center;">＊</p>
<p>かさぶたと、梱包材のプチプチさえあれば、無人島に置き去りにされても退屈しないと、そう思っていた。なぜなら俺はエンタメ界の二大巨頭を、洗練された小学生の嗜みを、その手に持っているのだから！</p>
<p>かさぶたを剥がし、プチプチを潰し、地球は自転を繰り返す。そうやって俺の少年時代は過ぎていった。</p>
<p>しかし小四のときに初めて家にファミコンが来て、マリオに夢中になった俺は本当の娯楽というものを知った。世の中にはかさぶたを剥がすことより楽し
いことがたくさんあるんだと、別にかさぶたもプチプチもエンタメ界のゴッドファーザーではなく、むしろ足軽くらいの存在なのだと、俺は知った。<br /></p>
<p>かさぶたを剥がすことと比べた時の、マリオの動きの多様性よ！</p>
<p>かさぶたは剥がすだけだ。ただ、ただ、剥がすだけだ。</p>
<p>だがマリオはクリボーを剥がさない。キノコを剥がさない。クッパを剥がさない。ピーチ姫を剥がさない。マリオはクリボーを踏み、キノコで大きくな
り、クッパを倒し、ピーチ姫を助ける。そして俺はそのマリオを操る。ボタンが、ボタンがたくさんある！　なんと複雑なエンターテイメントであることよ！</p>
<p>剥がすだけ、潰すだけの時代は終わりを告げた。</p>
<p>俺はマリオに夢中になった。かさぶたを剥がすこととは難易度が違った。面白かった。とてつもなく面白かった。ただ、それでも一つだけ、俺はマリオに不満があった。</p>
<p>マリオは走る。敵と戦う。傷つくこともあるだろう。</p>
<p>そのマリオにできたかさぶたを、剥がしたかった。</p>
<p>そんなシステムがあればパーフェクトだった。過去の娯楽と現在の娯楽が出会うとき、究極のエンターテイメントが姿を現すと、そう俺は信じていた。俺
は寝る前に何度も夢想した。マリオにかさぶたが出来ることを。俺がコントローラーを駆使して、なんとかそれを剥がしていくことを。</p>
<p>任天堂がそんなゲームを作ることを祈った。いつまでも、いつまでも、祈った。想いが届いてほしかった。</p>
<p>15年が過ぎた。</p>
<p>任天堂に、届いている気配はない。</p>]]>
    </content>
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    <title>ていうかおまえドトール好きすぎ</title>
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    <published>2008-11-11T13:34:15Z</published>
    <updated>2008-12-29T21:17:22Z</updated>

    <summary> 毎日のようにドトールに行ってるわけだけど、いいかげん飽きてきたし、何より店員に...</summary>
    <author>
        <name>上田啓太</name>
        
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        <category term="text01「大衆」" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://ueda.tomhan.net/">
        <![CDATA[

<p>毎日のようにドトールに行ってるわけだけど、いいかげん飽きてきたし、何より店員にも明らかに顔を覚えられてる。</p><p>なんたって日々やってきては平気で４、５時間は居座っているのだ。覚えられても無理はない。このままだと店員に「新規客」から「常連」を通り越して「ヌシ」とか呼ばれるようになり、町外れの沼に棲む巨大ガマみたいなポジションになってしまう。</p>]]>
        <![CDATA[<p>だから、今日は行く店を変えることにした。といっても俺の住む町は駅前にドトール一軒があるのみだから、線路沿いに30分ほど歩いて、隣の駅まで行く。</p>

<p><img src="http://ueda.tomhan.net/images/20081111-2.jpg" alt="20081111-2.jpg" height="225" width="400" /></p>



<p>そして見つけたエクセルシオールカフェという妙に長ったらしい名前の店に入り、いつもと違う味のコーヒーを飲み、いつもと違う味のパンを食べている。新鮮な気持ちになってる。</p><p>マンネリ化した俺とドトールの関係もこれで修復される。明日からはドトールのこと前みたいに愛せるようになると思う。だから今日だけの浮気は許してほしい。</p>

<p><br /></p><p>とか思ってたらこのエクセルシオールカフェってのがどうやらドトールと同じ系列らしくて、俺は驚きを隠しきれなかった。ストローを持つ手が震えた。なんてこった。単にドトールと同じ会社が、より高級志向の店としてやってるらしい。</p>

<p>つまり俺は和民から逃れるため坐・和民に行ってるようなもんであり、そこで「やっぱワタミとは違うな！」ってアホづらさげて言ってるわけであり、なんかもう和民っていうか愚民である。グタミフーズである。</p>

<p>ドトールから逃れようとわざわざ隣町まで行って、結局、ドトール系列の店に入る。どこまでも行ってもドトール。こんなもん、完全にお釈迦様の手のひらに載せられた孫悟空状態だ。</p>

<p>逃げて逃げて逃げて、それでも結局、お釈迦様の手のひらの上だったと、結局、ドトールの手のひらの上だったと、そういうことなのでみなさんホント気をつけてください。俺は明日からも天竺という名のドトールに通います。一匹の無力な猿として。</p>
]]>
    </content>
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    <title>自転車に乗るピエロ</title>
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    <published>2008-11-08T15:21:15Z</published>
    <updated>2008-12-29T21:20:45Z</updated>

    <summary> 俺は自転車にろくな思い出がない。...</summary>
    <author>
        <name>上田啓太</name>
        
    </author>
    
        <category term="text01「大衆」" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://ueda.tomhan.net/">
        <![CDATA[

<p><img src="http://ueda.tomhan.net/images/20081108.jpg" alt="20081108.jpg" height="225" width="400" /><br /></p><p>俺は自転車にろくな思い出がない。</p>]]>
        <![CDATA[高校の頃は自転車通学だったんだが、ある日、いつものように学校に向かってたら、前のほうを伊藤さんっていう女の子が歩いていた。
<p>この子はクラスでも一二を争うかわいい子で、こりゃ朝からラッキーだと喜びながら、俺は「おはよう」と声をかけた。彼女も笑顔で挨拶を返してくれて、俺は朝から今日のピーク来たと思いつつ、自転車で彼女を追い抜いた。</p>
<p>そして、まあ、なんだろう、あのころはとにかく、</p><p>「自転車を速く漕ぐ男はカッコイイ」</p><p>とか、そういう価値観で生きてたから、女の子が考える好きな男第一位は「マッハ」だと思ってたから、彼女を追い抜いたあたりから、俺は自転車をグンと加速させた。</p>
<p>前に赤信号があったけど、ぜんぜん車も来てなかったから、そこでもスピードを緩めず超特急。俺というエクスプレスは誰にも止められないと、それは赤信号さえ同じことだと、そんなこと思いながら走り抜けた。</p>
<p>自転車を速く漕いでる上に、信号無視という、道交法に楯つくアウトローっぷり。女の子が描く理想の男子二位は「アウトロー」だと思ってた俺として
は、こりゃ完全にクラスの男子たちに差をつけたぞと、マッハでアウトローな俺を見て、伊藤さんも後ろで火照った身体を持て余してることだろうと、そう思っ
ていたのだが、そしたら、</p>
<p><strong>「そこの自転車止まりなさい！　信号無視しただろう！」</strong></p>
<p>と言われて、振り向いてみると伊藤さんは別に火照った身体を持て余してはおらず、代わりに警官が怒りで身体を火照らしていた。</p>
<p>「おまえ、赤信号見えなかったのか？　<br />なんだ？　車が来てなかったら行ってもいいって習ったのか？　<br />なぁ？」</p>
<p>「すんません」</p>
<p>「もし事故になったらどうするんだ。<br />なあ、おまえ学校どこだ、名前なんだ、学校と名前言いなさい！」</p>
<p>「はい、あの、えっと、ほんとすいません」</p>
<p>朝っぱらから国家権力にこんこんと説教され、ふ菓子くらいの存在感になっている俺の横を、伊藤さんは気まずそうな顔をしながらスーッと通り過ぎていった。小さい声で、「上田くん............」とつぶやきながら。</p>
<p>俺は、あのときの、「............」部分に込められた冷たさを、一生忘れない。</p>
<p><img src="http://ueda.tomhan.net/images/20081108-2.jpg" alt="20081108-2.jpg" height="225" width="400" /></p>
<p>中学の時は三浦さんという子が好きだった。</p>
<p>ある日、自転車で学校まで走ってたら、校門のあたりで三浦さんを見かけた。</p><p>例のごとく挨拶しようと思って強くブレーキを握りしめたら、雨で地面が濡れててチャリがズルンと横転し、俺は彼女の目の前で５メートルくらい横滑りした。</p>
<p>ズザザザザザザザーーーー！！！って音がした。</p>

<p>一瞬、何が起こったか自分でも分からなかった。その先に一塁ベースでもないかぎり納得のいかない突然のスライディングだった。起き上がったら全身泥だらけの上に身体の左半分が擦り傷になっていた。爽やかな朝の空気にいちばん似合わない存在になっていた。</p>
<p>あんなもん、三浦さんが無類のスタントマン好きでもないかぎりマイナス評価。将来は世界一のスタントマンと結婚するの！って意気込んでるような子じゃない限りマイナス評価。</p>
<p>そして、一般的な中学生女子はスタントマンに何の関心もない。</p>
<p>三浦さんは、無惨な姿になった俺をしげしげと見つめながら、「なんで......？」と呟いていた。</p>
<p>理由なんて、俺にも分からない。</p>]]>
    </content>
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    <title>タウンワークを探す旅</title>
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    <published>2008-11-06T18:53:48Z</published>
    <updated>2008-12-29T21:16:33Z</updated>

    <summary> いいかげんバイトを探そうと思ってるんだけど、私の住んでる町は小さくてあまり仕事...</summary>
    <author>
        <name>上田啓太</name>
        
    </author>
    
        <category term="text01「大衆」" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://ueda.tomhan.net/">
        <![CDATA[<p><img src="http://ueda.tomhan.net/images/20081104.jpg" alt="20081104.jpg" height="225" width="400" /></p>
<p>いいかげんバイトを探そうと思ってるんだけど、私の住んでる町は小さくてあまり仕事がない。</p>]]>
        <![CDATA[<p>ということでバイトは立川ですることに決める。立川というのはこのあたりじゃ一番大きい街でなんたってシネコンがある。私の街にはツタヤすらない。差は歴然たるもんである。</p>
<p>私はバイトを探す時はいつもタウンワークを使ってる。コンビニなんかに置いてあるフリーペーパーだ。だから今回もそうしようと思ったんだけど、この
街のタウンワークには立川の求人情報は載ってない。まあ当たり前だ。仕方ないので電車に乗り立川までタウンワークを取りに行くことにする。労働への輝かし
い第一歩である。</p>
<p>立川駅の改札を抜け、北口から出て適当に歩き回る。タウンワークなんてそこらじゅうにあるもんだしコンビニの一軒でも見つけてしまえばこっちのもんだ、などと思いながら歩く、歩く、歩く。</p>
<p>コンビニがない。</p>
<p>でかい街ほど駅前にはコンビニがないもんなのか、どうなのか。私が見落としてるだけなのか、あるのは居酒屋と英会話学校と巨大な高層ビル群ばかり。歩き疲れてコンクリートジャングルの意味を肌で感じ始めた私は折れそうになる心を必死で支えながら駅前の喫茶店に入る。</p>
<p><img src="http://ueda.tomhan.net/images/20081106.jpg" alt="20081106.jpg" height="224" width="400" /></p>
<p>コーヒーをすすり、サンドイッチを食べ、観葉植物相手に小一時間ほど愚痴ってから、店を後にする。そして再び歩く。コンビニを探して。立川のこと、信じて。大都市の駅前でタウンワークが見つからないはずがない。そう強く信じて。</p>
<p>そんでやっぱないんですね。タウンワークないんです。</p>
<p>仕方ないから駅に戻り、駅の構内をうろうろしたらフリーペーパーらしきものが積んであるラックが見つかって、一時は光の射す思いもしたが近づいてみれば旅行のパンフレットたち。</p>
<p>いっそこのままバイト探しなんてやめて遠く異国の地に旅立ちたくもなったけど、無職がなにほざいてんだコラという神の思し召しが聞こえてきたので一瞬にして頓挫。</p>
<p>そして、疲れ切った私はついにタウンワークを探すのを諦める。なんなんだ、雪山で人間捜してんじゃないんだぞ。タウンワークだぞ。タウンワークを探してるだけなんだぞ、なんて思いながら、とぼとぼと改札を通る。</p>
<p style="text-align: center;">＊</p>
<p>タウンワークひとつ見つけられない自分に果たして輝かしい未来は待ってるんだろうか。今日という日はなんのためにあったんだ。もし手元に脇差しが
あったら人類史上最もショボい理由で切腹を繰り広げてるところだ、なんて思いながら改札の中を歩いていると目の前に大量の黄色い冊子が積み上げられてい
る。大量のタウンワークが、積み上げられている。</p>
<p>改札の中にあったんだ。</p>
<p>駅の外を探す必要なんてなかったんだ。そうだ、タウンワークってけっこう駅の構内にあるじゃないか。バカか、俺はバカか。そうか、バカだったんだ！　やったぁ、バカだったんだ！　全面的に認めるしかない。</p>
<p>俺は馬鹿だ。</p>
<p>こんなもん完全に幸せの青い鳥が実は家の中にいたパターンであり、チルチルとミチルがハマってたパターンに俺も見事にハマっている。いっそ夜明けまで語り合いたい。チルチルとわらわらで語り合いたい。</p>
<p>だからほんとどうかみなさん、今日という日のことを現代の寓話として後世まで語り継いでください。</p>
<p>昔ある若者がいてね、その若者はタウンワークを探して立川駅のまわりを歩き回ってね、だけどタウンワークは、はじめから改札の中にあったんだよ...。そんなふうに子供に枕元で聞かせてやってください。全国の祖母はあまねくこの話をレパートリーに加えてください。</p>
<p>そんで一応タウンワークは手に入ったってことで家に帰り、部屋でぺらぺらとめくってたんだけど、そこでふと気になる文句を見つける。「ウェブでもタウンワーク！」的な文句を見つける。</p>
<p>もしかしてと思いながらパソコンを立ち上げ指定された場所にアクセスしてみるとそこにはタウンワークのウェブ版があった。タウンワークに載ってる求人情報はそのサイトにすべて載っていた。愕然とした。ただ、ただ、愕然とした。</p>
<p>つまり青い鳥は最初から家にいたっつうかネットで検索すればすぐ見つかったと、青い鳥すらググって見つける時代ですよということであり、有名な寓話に現代的なエッセンスを加えたこの話を全国の祖母はあまねくブログで語り継いでください。私はもう寝る。</p>]]>
    </content>
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    <title>タバコを吸わない男、謎の言葉に戸惑い</title>
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    <published>2008-01-09T07:37:02Z</published>
    <updated>2008-12-30T10:54:35Z</updated>

    <summary>タバコの知識が全然ない。それを思い知らされた23歳の冬である。...</summary>
    <author>
        <name>上田啓太</name>
        
    </author>
    
        <category term="text01「大衆」" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://ueda.tomhan.net/">
        <![CDATA[<p>タバコの知識が全然ない。それを思い知らされた23歳の冬である。</p>]]>
        <![CDATA[<p>マンガ喫茶で相変わらずバイトしてたんすよ。まあバイトつっても暇なんでレジでボーッとしてるだけなんですけど、微動だにせず突っ立ってるだけなんですけど、そういう銅像がレジに置いてあんのかって感じになってんですけど、そしたらですね、ブースにいたお客さんがツカツカとレジまで歩いてきて、</p>

<p>「セッタ」</p>

<p>って一言、ほんと一言だけ、言いまして、そんでなぜか俺に手渡す300円。「セッタ」という謎の一言と手渡された300円。その意味がまったく理解できず、レジの前に立ち尽くす23歳の冬。</p>

<p>風はまだまだ、冷たい。</p>

<p>いや、どうも後から聞いたところによると「セッタ」ってのはセブンスターのことらしいんだけども、うちのマンガ喫茶はタバコをいくつか置いてるから、それを買いたかったみたいなんだけども、普段まったくタバコを吸わないもんだから完全にパニック状態に陥った。</p>

<p>もう、突然の事態を処理しきれなくてケムリ出そうになった。俺自身がタバコみたいになった。俺は試されてるのか、って、300円と「セッタ」という言葉、そこから答えを導きだすことが出来るかね金田一君、ってことなのかって。</p>

<p>で、コンマ何秒かのうちに思考を巡らして、ひとつめに出てきた答えが、</p>

<p>「おこづかい？」</p>

<p>ってことで、こう、チップみたいなもんかな、って、アメリカ文化にかぶれてる客なのかな、って思って、「セッタ」ってのも「おつかれっした」を超高速で言っただけなんじゃないのか、俺に感謝の気持ちを表してるのかな、って、この300円はありがたくポッケに入れて、笑顔で「どもっ！」って言っとけばすべては丸く収まるのかな、って思って、300円をポケットに入れて、やんわり笑っといたら、</p>

<p>「いやいやセブンスター！」</p>

<p>って言われて、ようやくすべてを理解した自分は信じられないくらい顔が真っ赤になった。おこづかいじゃなかったんだ！って。ていうか、そりゃおこづかいじゃないだろ！って、なんだよアメリカ文化にかぶれてる客って！って思って、さっきまでの自分の脳みそに根性焼きしたくなった23歳の冬。</p>

<p>風はまだまだ、冷たい。</p>]]>
    </content>
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    <title>ペニスの出し方について</title>
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    <published>2006-12-24T17:55:22Z</published>
    <updated>2008-12-30T11:17:50Z</updated>

    <summary>クリスマスだ。 ちんぽの話をしよう。...</summary>
    <author>
        <name>上田啓太</name>
        
    </author>
    
        <category term="text02「真顔」" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://ueda.tomhan.net/">
        <![CDATA[<p>クリスマスだ。</p>

<p>ちんぽの話をしよう。</p>]]>
        <![CDATA[<p>人前でちんぽを出す男というのは、世の中に一定数存在する。ここで言うのは別に変質者のことではない。飲み会などの場において、エンターテイメントの一環としてちんぽを出す男のことだ。言わばオモシロ目的のちんぽ、良かれと思って出されるちんぽである。</p>

<p>私は、そうやって浮かれながらちんぽを出す男を見るたびに、小学生の頃の、ある友人のことを思い出す。</p>

<p>その友人は、名前をアカリといった。</p>

<p>いがぐり頭に、切れ長の目。お世辞にも親しみやすいとは言えない強面の男だった。声は低く、年のわりに落ち着いている印象を与える。だが少し喋ってみれば、中身はあくまでも単なる小学生だってことが分かる。アカリはそんな男だった。</p>

<p><br />
小学校四年生のある日のことだ。私とアカリは、放課後、なにかの集まりで、20人ほどの生徒と一緒に、教室に残らされていた。教壇では教師が何かつまらな
いことを話している。私とアカリは教室の一番うしろの席に座り、教師の話など聞かず、微塵もやる気の感じられない格好で、退屈な時間を持て余していた。</p>

<p>10分ほど過ぎた頃、隣に座っていたアカリが、「おい」と、私に呼びかけた。私は半分眠っていたが、その声に反応し、なんとなく横を向いた。</p>

<p>この時のことは、今でも鮮明に覚えている。</p>



<p>アカリは、なぜか半ズボンのチャックから、ぷらりとちんぽを出していた。全く意味が分からないし、何のストーリーもない唐突なちんぽだ。</p>

<p>私がちんぽを見たことを確認すると、アカリは顔色一つ変えず、ひとこと言った。</p>

<p>「ほら」</p>

<p>当時の私はこれに対しプッと吹き出す程度の笑いしか返さなかったのだが、今になって思うと、これはそんな軽い笑いで済ませてしまっていいことではなかった。これは、ちんぽの出し方として非常に高度な次元に達しており、ちんぽ史に残るエポックメイキングな出来事だったのだ。</p>

<p>考えてみてほしい。</p>

<p>普通、人はちんぽを出すとき、どうしてもテンションが上がりがちだ。飲み会の場なら尚更そうだろう。「イェーイ！」なんておちゃらけながら、おどけ
た格好でちんぽを出す。そこには照れ隠しで水増しされたハイテンションもあるのだろうが、これが最もスタンダードなちんぽの出し方なのである。</p>

<p>ちんぽを出すという行為はある種のカーニヴァルであり、それは否応無しに人間の気分を高揚させるものなのだ。</p>

<p>だが、アカリはちんぽを出す際に、そのようなハイテンションを微塵も感じさせなかった。アカリは、呼吸するようにちんぽを出した。日々の些細な一つの風景として、ちんぽを出したのだ。そして実は、これが面白いちんぽの出し方という問題に対する、「正解」なのだ。</p>

<p>ちんぽ自体が大きなインパクトを持っているのだから、ちんぽを出す人間は、テンションを上げず、引きに徹するのが最も効果的なのである。この事実に気付いている人間は意外と少ないし、気付いていたとしても、実際にそれを実行できる人間はなかなかいない。</p>

<p>それを、若干10歳の、何の訓練も受けていないただの小学生が、さらっとやってのけたのだ。この事実を思い出すたびに私は背筋が冷たくなるような感覚に襲われる。戦慄が走るというのはまさにこのことを言うのだろう。アカリという男の破格の才能に私はただひれ伏すしかない。</p>

<p>奇しくも今は年の瀬だ。全国で数えきれないほどの飲み会が開かれていることだろう。そしていくつものちんぽが、良かれと思って飛び出すことだろう。だが今回の話だけは、どうか心に刻んでおいてほしい。</p>

<p>それでは、メリー・クリスマス。</p>]]>
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    <title>1/1000</title>
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    <published>2006-11-24T03:49:21Z</published>
    <updated>2008-12-30T11:17:14Z</updated>

    <summary>私はまだ全く結婚願望はなく、女の子と付き合っていても、「この子と結婚したい」とま...</summary>
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        <name>上田啓太</name>
        
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        <![CDATA[<p>私はまだ全く結婚願望はなく、女の子と付き合っていても、「この子と結婚したい」とまで思うことはないのだが、過去に一度だけ、ある瞬間に、結婚したくてしたくてたまらなくなったことがある。</p>]]>
        <![CDATA[<p>あれはたしか、蒸し暑い夏の夜の事だった。</p>

<p>当時付き合っていた女の子が夕方からアパートに泊まりに来ていて、私たちは、適当な夕飯を食べ、DVDで映画を一本観た後、順番にシャワーを浴び、それから、二人で1000ピースのパズルをした。ミッキーマウスか何かの絵が描いてあるパズルだったと思う。</p>

<p>真夜中、私たちは二人で、隣同士に寝そべって、ほとんど会話も交わさず、黙々とパズルを作り続けた。</p>

<p>途中、何度か彼女が、「もういいから寝よう」といった主旨のことを言ったように思う。だがそのころの私は、一度始めたパズルを放り出して眠る事は、
パズルに対する冒涜であるように感じていた。要するに、多少、狂っていたのだ。だから、彼女の提案を撥ね除け、再び、ひたすらパズルのピースを組み合わせ
続けた。</p>

<p>パズルを始めてから、数時間が経っていたと思う。私は一息ついて、ようやく視線をパズルから外し、何の気なしに隣にいる彼女に目をやった。</p>

<p>彼女は、いつの間にか眠っていた。パズルを作っている時の姿勢のままで。そして、彼女の二の腕あたりには、なぜかパズルのピースが一枚貼り付いていた。</p>

<p>この瞬間だ。</p>

<p>この瞬間、私はもうどうしようもなく、「この女と結婚したい」と思ったのだ。この機会を逃したら、もう二度と、二の腕にパズルのピースが貼り付くよ
うな女とは出会えないと、そして、どれだけ着飾っていようが、顔が可愛かろうが、スタイルが抜群だろうが、二の腕にパズルが貼り付かないような女とは、俺
は絶対に結婚したくないと、そう強く思ったのである。</p>

<p><br />
この話はとても良い話だと思うのだが、これまで誰かに話して共感を得られた事はないし、あなたたちがパソコンの前で近年まれに見るキョトン顔になっているのも、すごくよく分かることだ。</p>

<p>ただあれ以来私は、男ってもんは、しかるべき時に、しかるべき場所にパズルのピースが貼り付いている女を見たら、その女と激しく結婚したくなるもんなんだと、そう遺伝子に刻まれてるのだと、そう思って生きている。</p>]]>
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